ポイントは“授業料以外の支出”をどう備えていくか
2026年4月「私立高校授業料の実質無償化」が家計にもたらすもの
「高等学校等就学支援金」の利用には“申請”が必須
全世帯が「授業料無償化」の対象になるからといって、自動的に支援が受けられるわけではない。
「支援を受けるには、申請が必要です。2026年度においては、4月に申請の受付を開始し、5~6月にかけて認定通知を発出するスケジュールが示されています。ただし、授業料への充当や還付のタイミングは学校によって異なります。認定前であっても、就学支援金の支給見込額を授業料からあらかじめ差し引いて請求する学校がある一方で、授業料をいったん全額納め、認定後に還付する学校もあります」
入学手続き時や年度当初にどの程度の納付が必要になるか、還付がある場合はいつ頃になるのかといった点は、学校ごとの案内で確認しておこう。
「ただ、申請に関して『忘れてしまった』ということは、ほとんどないと考えています。多くの高校では入学説明会などで『高等学校等就学支援金』に関する説明が行われると思いますし、申請はオンラインで実施されるので、スマホさえあればすぐにできるでしょう。申請期限さえ守れば、問題ありません」
進路選択のポイントは「授業料」以外の支出
「授業料無償化」によって、高校の選び方が変わってくるといえそうだ。
「これまでは学費ありきで進路を考え、私立を選択肢から除いていた家庭も多かったと思います。しかし、上限があるとはいっても授業料への支援が受けられるようになると、学校の教育方針や環境、部活動や進学先の実績、子どもとの相性など、学費とは別の部分で選べるようになるのではないかと思います」
私立を目指す子が増えるとなると、公立を志望する子が減る可能性が出てくる。「子どもたちに選んでもらうため、いままで以上に特色を打ち出す公立も増え、学校ごとの色がより一層強くなるのではないか」と、磯山さんは話す。
「学校同士が切磋琢磨し、子どもにとってよりよい教育環境が整っていくのではないかと期待しています。だからこそ、子ども自身や親御さんは学校説明会などを訪問し、これまで以上に各校の特色を把握したうえで、本当に行きたい学校を選択していくことになるでしょう」
実は、ここで重要になるのが「学費」だという。無償化に伴って学費での選択ではなくなるはずだが、なぜ重視する必要があるのだろうか。
「『高等学校等就学支援金』は、あくまで『授業料』を助成するものです。しかし、高校に通うためには、授業料以外にも入学金や修学旅行費、学用品費、部活の活動費などが発生します。文部科学省が実施した『令和5年度子供の学習費調査結果』によると、公立での年間の学校教育費の平均が約35万円、私立だと約83万円という結果が出ています」
●公立・私立における学校教育費の内訳(出典/文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果」)
【公立高等学校(全日制)】
入学金等 1万8027円
授業料 4万5272円
修学旅行費等 3万6500円
学校納付金等 3万5630円
図書・学用品・実習材料費等 6万2284円
教科外活動費 4万9499円
通学関係費 9万7634円
その他 6677円
合計 35万1523円
【私立高等学校(全日制)】
入学金等 8万290円
授業料 27万9170円
修学旅行費等 6万2778円
学校納付金等 12万7346円
図書・学用品・実習材料費等 7万3312円
教科外活動費 6万3440円
通学関係費 13万6790円
その他 9524円
合計 83万2650円
授業料全額が支援されるとしても、公立で約30万円、私立で約55万円は自身で負担しなければならない。
「特に私立だと、部活に力を入れていて遠征が多かったり、修学旅行先が海外だったり、そもそも自宅から学校までが離れていて定期券代がかかったりするので、授業料以外の費用が大きくなりがちです。海外留学や研修旅行などに参加したり、大学受験のために塾に通ったりすると、さらに費用がかさむでしょう」
「授業料無償化だから私立に行こう」と安易に考えてしまうと、実際に進学してから「こんなにお金がかかるとは思っていなかった…」ということになりかねない。
「学校説明会や学校案内での情報収集に加えて、可能であれば、志望校に子どもを通わせている人の話を聞いてみてほしいですね。『学校の先生が放課後も勉強を教えてくれるから、塾は必要ないよ』『留学は任意とされているけど、ほとんど全員が参加するよ』といった具体的な話を聞くことで、実際にかかる費用を想像しやすくなり、学校選びの参考になります。そのうえで、学校と子どもの相性を見て、進路を選んでいけるといいでしょう」

