「投資INSIDE‐OUT」
価格転嫁の進展が示す企業の物価観~短観に映る価格転嫁の広がり~
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
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◆企業のインフレ期待は一段と上昇
7月1日に日銀短観(全国企業短期経済観測調査)が発表されました。大企業製造業の業況判断が市場予想を大きく上回り、日本経済の堅調さが示された結果でした。
こうしたなか、企業の物価見通しも前回調査から大きく高まりました。過去からの推移をみると、企業間の取引価格を示すCGPI(企業物価指数)と連動して、コロナ禍明けの2021年から2023年にかけて伸びを高めましたが、その後、CGPIが下落したあとも高止まりしていました。今回調査では、そこからさらに伸びを高める姿となっています【図1】。
◆企業行動に根付く価格転嫁
企業の物価見通しが大きく高まる背景には、仕入価格上昇を販売価格に転嫁しやすくなったことがあります。この点は、直近3カ月の仕入価格と販売価格について尋ねた、仕入価格判断指数(DI)と販売価格判断DIに示されています【図2】。
特に、販売価格判断DIが1974年の調査開始以来最高を記録した点は注目に値します。過去、仕入価格が上昇する局面でも、販売価格が下がるとした企業の割合が高い(DIがマイナス圏にある)時期が長く続きましたが、足元では仕入価格上昇に伴って販売価格を引き上げることが可能になったという、環境の大きな変化が示唆されます。
◆価格転嫁に格差も
ただ、業種や企業規模によって価格転嫁の進みやすさにはバラツキがみられます。ここでは、仕入価格判断DIと販売価格判断DIの差が大きいほど価格転嫁が進みにくい(仕入価格上昇が販売価格上昇につながりにくい)と捉え、業種・規模別に比較しました【図3】。
これを見ると、業種別では宿泊・飲食や生産用機械、電気機械工業など、企業規模別では中小企業で、相対的に価格転嫁が進みにくい傾向がみられます。足元の輸入物価上昇に伴う仕入価格上昇は、こうした企業を中心に先行きの収益下押し要因となり得るため、注意が必要です。その点、原油の供給制約は徐々に解消されると見込まれますが、円安進行による輸入物価上昇は引き続き経済の下振れリスクとして懸念が残ります。
価格転嫁の進捗と物価上昇に伴い、金融環境の調整のペースが重要な論点となっています。
行き過ぎた円安が経済を下振れさせないためにも、適切なペースでの調整が期待されます。
シニアエコノミスト 藤本 啓
(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)
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