ボラティリティとは?高い・低いの意味や株式投資での活用方法も解説
ボラティリティとは、価格変動の度合いを示した言葉です。VIXのように、ボラティリティに関する指標・インデックスもいくつか存在します。
「投資でボラティリティに注目しよう」と思っても、実際にどう判断すればよいのかわからない方もいるのではないでしょうか。ボラティリティに注目する際は、リスクやリターンとの関係を理解しておくことが大切です。
本記事では、ボラティリティが高いケース・低いケースにおいてリスク・リターンがどうなる傾向にあるのか説明した上で、ボラティリティ指標・インデックスの具体例や活用方法も解説します。
ボラティリティとは
ボラティリティ(Volatility)とは、株式などの金融商品の価格変動の度合いを示す用語です。投資判断やリスク管理に使われることがあります。
ボラティリティは、データのばらつきを表す「標準偏差」を用いて示すことが一般的です。標準偏差の意味や計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
ボラティリティとリスク・リターンの関係とは
ボラティリティとリスクやリターンには、相関関係が見られることがあります。投資におけるリスクとは不確実性の度合いのことで、リターンとは運用によって得られる収益のことです。
ここから、ボラティリティが高いケースと低いケースに分けて、リスクやリターンとの関係を解説します。
ボラティリティが高いケース
一般的に、ボラティリティが高い銘柄は価格の振れ幅が大きく、短期間で大きなリターンを得られる可能性があります。一方で、値動きが激しいため、大きな損失が生じる可能性もあるため、リスク管理の徹底を心がけることが大切です。
なお、ボラティリティが高いからといって、必ずしも高い利益が保証されるわけではありません。
ボラティリティが低いケース
ボラティリティが低い銘柄は振り幅が小さく、リスクもリターンも低い傾向にあることが一般的です。そのため、ボラティリティが高い銘柄と比較すると、将来の価格変動幅を想定しやすい可能性があります。
ただし、もともとボラティリティが低い銘柄でも、地政学リスクの上昇や政府要人の発言、金融政策の変更などの事情により、突如として値動きが激しくなることがある点を押さえておきましょう。
投資におけるボラティリティ指標の種類
投資におけるボラティリティ指標の主な種類は、以下の通りです。
・ヒストリカルボラティリティ
・インプライドボラティリティ
それぞれ解説します。
ヒストリカルボラティリティ
ヒストリカルボラティリティとは、過去の一定期間における価格の変動率から算出される指標です。英語の「Historical Volatility」を略して「HV」と表記されることもあります。
ヒストリカルボラティリティは、日々の価格変動率(リターン)の標準偏差(σ)を用いて、値動きのばらつきの大きさを示すことが一般的です。ヒストリカルボラティリティが高いほど価格変動が激しく、低いほど値動きが比較的安定していたことを意味します。例えば、A期間におけるヒストリカルボラティリティがB期間より高い場合、A期間のほうが価格変動の大きい局面だったと判断できるでしょう。
なお、算出対象となる期間は「10日」「30日」「60日」など、提供されるデータや分析目的によって異なります。同じ銘柄であっても、対象期間が異なるヒストリカルボラティリティを比較する際には注意しましょう。
インプライドボラティリティ
インプライドボラティリティとは、実際に取引されているオプション価格から逆算される、原資産の予想変動率です。英語の「Implied Volatility」を略して「IV」と表記されることもあります。
オプション価格とは、オプション取引(※)において買い手が売り手に支払う対価のことです。そのため、一般的にインプライドボラティリティでは、市場参加者の将来の値動きに対する見通しが反映されます。
インプライドボラティリティが高いほど、市場が将来の価格変動を大きく見込んでいると判断できるでしょう。重要な経済指標の発表や企業決算、選挙などのイベントが近づいている場合や、経済の先行きに対する不透明感が強まった場合に、上昇する可能性があります。
ただし、あくまで市場に織り込まれた予想を表すもののため、将来の実際の変動率と一致するとは限らない点に注意しましょう。
※オプション取引:将来の決められた期日にあらかじめ決められた価格で、対象商品を「買う権利」や「売る権利」を売買すること
オプション取引について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ボラティリティ指標・インデックスの具体例
ボラティリティに関する代表的な指標・インデックスとして、VIX(Cboe Volatility Index)が挙げられます。
VIXとは、米国の取引所運営会社Cboe Global Markets傘下のCboe Global Indicesが、S&P 500指数を対象とするオプションの価格をもとに算出・管理している指標です。市場が予想する今後30日間のS&P500指数の変動率を表しています。
VIXの数値が高いほど、市場参加者が将来の値動きを大きく見込んでいることが一般的です。相場の先行きに対する不透明感や、警戒感が強まる局面で上昇する傾向があるため、「恐怖指数」と呼ばれることもあります。
また、投資家による日経平均株価の予想変動率を表した日経平均ボラティリティー・インデックスも、ボラティリティに関する指標のひとつです。
投資におけるボラティリティの活用方法
投資におけるボラティリティの活用方法は、以下の通りです。
・利益確定・損切りの値幅設定の参考にする
・リスクを想定する際の参考にする
それぞれ解説します。
利益確定・損切りの値幅設定の参考にする
ボラティリティは、利益確定や損切りの値幅を検討する際の判断材料のひとつです。
一般的に、ボラティリティが高い銘柄は、日常的な価格変動も大きい傾向にあります。そのため、損切りの値幅を狭く設定しすぎると、一時的な値動きだけで損切りに至りかねません。一方、ボラティリティが低い銘柄に対して利益確定の値幅を広く設定した場合、想定した価格に到達するまで時間がかかることもあるでしょう。
そこで、利益確定や損切りの値幅を検討する際は、ヒストリカルボラティリティを確認し、過去にどの程度の価格変動があったのかを把握しておくことが大切です。一方で、損切りの値幅を広げるほど、損失額が大きくなる可能性がある点も理解しておかなければなりません。
リスクを想定する際の参考にする
ボラティリティは、投資対象のリスクを考える際の判断材料にもなるでしょう。
一般に、ボラティリティが高い銘柄は値動きが大きいため、大きな損失が生じる可能性があります。そこで、ボラティリティを事前に把握しておけば、自身の許容できるリスクに応じて投資額や保有数量を調整しやすくなるでしょう。
また、ボラティリティが高い銘柄だけを保有せずに、ボラティリティが比較的低い銘柄や値動きの異なる資産を組み合わせて、ポートフォリオ全体のリスクを抑える方法もあります。
投資でボラティリティを活用する際の注意点
投資でボラティリティを活用する際は、以下の点に注意しましょう。
・株価の予測まではできないことを理解する
・流動性リスクもあわせて確認する
それぞれ解説します。
株価の予測まではできないことを理解する
ボラティリティだけでは、株価の方向性まで予測できない点を理解しておきましょう。
ヒストリカルボラティリティには過去の一定期間における値動きの大きさ、インプライドボラティリティには市場参加者が予想する将来の変動率が反映されています。しかし、いずれも株価が上昇するのか、下落するのかを具体的に示すものではありません。
そのため、投資先を検討する際は、企業の業績や財務状況、市場環境などの要素も踏まえて判断することが大切です。
流動性リスクもあわせて確認する
ボラティリティを投資判断の参考にする際は、流動性リスクもあわせて確認しておかなければなりません。
流動性リスクとは、取引量が少ないなどの理由で、希望するタイミングや価格で金融商品を売買できないリスクのことです。流動性が低い銘柄では、売却したくても買い手が見つからなかったり、想定よりも安い価格で売却せざるを得なかったりする可能性があります。
また、流動性が低い銘柄は、少量の注文でも価格が大きく動き、結果としてボラティリティが高くなる場合もあるでしょう。銘柄の状況を正しく理解するには、出来高や売買代金なども確認することが大切です。
ボラティリティは価格変動の度合いを示す用語
ボラティリティ(Volatility)とは、株式などの金融商品の価格変動の度合いを示す用語です。過去の一定期間における値動きの大きさを示すヒストリカルボラティリティと、市場参加者が予想する将来の変動率を反映したインプライドボラティリティがあります。
ボラティリティが高い銘柄は価格の振れ幅が大きく、低い銘柄は振れ幅が小さい傾向にあることが一般的です。ただし、ボラティリティだけでは、今後の株価が上昇するのか、下落するのかまでは判断できません。
今後銘柄を検討する際は、株価に加えて、ボラティリティや企業の業績、流動性など様々な要素を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:経済産業省「通商白書2025 第Ⅰ部第3章不確実性がもたらす経済的影響」
参考:株式会社日本取引所グループ 大阪取引所「北浜投資塾 理論」
ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。


