書店員さんに聞いてみた!今あなたに読んでほしい「お金の本」
異国の言葉から、生き方・働き方を問い直す。神保町・韓国書籍専門店が選ぶ、今こそ読みたい「お金の本」
韓国書籍専門書店 チェッコリ 佐々木静代さん
最近、本屋さんに行ったのはいつですか? ネット書店で買ったり、電子書籍で読んだりが主流で、もうしばらく店舗には行ってないな……なんて方も多いのではないでしょうか。
お目当ての本を検索して購入するのであればそれで十分ですが「書店」という場所の魅力は、検索ワードだけでは辿り着けない思いがけない出会いがあること。この連載では、全国のさまざまな店舗で働く書店員さんが、プロの目線で担当ジャンルの「お金の本」をセレクトします。
今回お話を伺うのは、東京・神保町にある韓国書籍専門書店「チェッコリ」で宣伝広報を担当する佐々木静代さんです。韓国文学ブームを牽引してきた同店が選ぶ、「働くこと」を問い直す本とは?
『キム・ジヨン』『菜食主義者』だけじゃない 広がる韓国文学
私が宣伝広報を務める「チェッコリ」は、2015年に神保町にオープンしました。チェッコリの母体は、韓国書籍の翻訳出版を専門に行う出版社「クオン」です。本を出版するだけでなく、直接読者のお客様に韓国の本や翻訳書を届けたいという思いから立ち上げました。
今でこそ大きな書店に韓国文学のコーナーがあるのは当たり前になりましたが、クオンが翻訳出版を始めた2007年当時は、ほとんど認知されていませんでした。
大きな転機となったのは2016年、ハン・ガンさんが『菜食主義者』でイギリスの国際ブッカー賞を受賞したことです。韓国内ではもちろんすでに人気作家の彼女でしたが、この受賞によって、日本の出版関係者や本好きの間で一気に注目が集まりました。
その後、2018年12月に翻訳刊行されたのが『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ:著、斎藤真理子:訳/筑摩書房)。韓国で大きな話題だったこの1冊は、日本でも瞬く間に重版され、30万部に迫る(2026年現在)ベストセラーに。ある女性の半生に存在する困難や壁を描くフェミニズム小説として、新聞やテレビでも数多く取り上げられる社会現象になりました。
翌2019年には、BTSのメンバーが読んだことでも話題となったイラストエッセイ『私は私のままで生きることにした』(キム・スヒョン:著、吉川南:訳/ワニブックス)が日本で60万部の大ヒット。これで一気に若い世代にも韓国文学やK-BOOK(韓国の翻訳本の総称)の波が広がった感覚です。
2024年には、先述のハン・ガンさんがアジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞し、さらに読者を広げました。K-BOOK全体で見ても、小説だけでなくエッセイ、人文書、自己啓発系の本など、読まれるジャンルも幅広くなり、10万部を超えるヒット作が続々と登場しています。
現在クオンならびにCHEKCCORIの宣伝広報を務めるかたわら、一般社団法人 K-BOOK振興会の事務局長と、K-BOOKフェスティバル事務局長を兼務する。
K-BOOKを紹介するPodcast「K-BOOKらじお」を毎週金曜日に配信中。
◆CHEKCCORI(チェッコリ)
住所:千代田区神田神保町1-7-3 三光堂ビル3階



