ニッポン、新時代

株価20倍の成長銘柄を発掘したノウハウ

これからは利益成長が市場を動かす インベスコ・アセット・マネジメント 服部幸博氏が占う「日本の中小型株」の行方

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中小型株への投資機会が訪れている

ここ数年の日本市場を振り返ると、中小型株やグロース株に強い追い風が吹いてきたとは言いにくい。上昇が著しい大型株に比べ、中小型株は「出遅れている」と言われることも少なくない。

ただし服部氏は、この状況を単純な「出遅れ」とは捉えていない。むしろ、「中小型株がまだ十分に評価されていないと考えています」と話す。

服部氏によれば、金利上昇や海外投資家の資金が大型株に集中したことなどから、中小型株に目を向ける投資家がなかなか増えなかったという。結果、中小型株は十分な評価を受けていないと見る。実際、中小型株の中には、業績を伸ばしていながら株価に反映されず、PERが低下している企業もあると指摘する。

「裏を返せば、企業価値と株価のギャップが広がっています。中小型株に投資する人にとっては、投資機会になるでしょう」

これから中小型株に目が向く“兆し”もあるという。2023年以降、東証による資本コストや株価を意識した経営の要請などを背景に、割安に放置されていた企業、いわゆる「バリュー株」といわれる銘柄の株価が上昇した。

割安かどうかを判断する指標の1つはPBR(株価純資産倍率)だが、すでに多くの企業で上がってきており、PBRの割安さに着目して投資先を探す余地は、「今後小さくなっていくのでは」と服部氏は見る。

「そうなると、これから重要になるのはEPSです。つまり、企業の利益成長に注目は移っていくでしょう。大型株にも利益を伸ばす企業はもちろんありますが、一般的には企業規模の小さい中小型株の方が、高い利益成長率を実現する余地があります。つまり、中小型株に投資資金が向かう可能性があるのです」

2025年から、東証ではグロース市場の改革も進めている。その中では、企業が投資家に「自社の成長戦略」を発信することを促進している。これにより、この国には成長する中小型株がいくつもあるという認知が世界に広がれば、「外国人投資家の資金流入も期待できます」と服部氏は指摘する。

「日本には、世界の技術を支えるニッチトップ企業がたくさんあります。たとえばNVIDIAの製品にも、たくさんの日本企業が関わっています。なぜそれらの企業が評価されていないのかといえば、単純に認知されていなかったからではないでしょうか。特に海外は顕著です。その課題が改善されれば、潮目が変わる可能性があります」

取材の最後に、中小型株やグロース株に投資する魅力を服部氏に尋ねてみた。返ってきたのは「企業の成長を楽しめること」という答えだった。

「まだ規模の小さい企業に投資して、その企業が成長し、自分の資産も成長する。株価ではなく『企業に投資する』という視点で、一緒に成長の過程を歩めるのが魅力だと思います」

今はまだ中小型株でも、将来大きく飛躍する銘柄を探す。そして、その企業の成長を長い目で応援する。理系出身のファンドマネージャーの言葉には、「明日大きくなる企業」を見極めるためのヒントが詰まっている。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2026年9月現在の情報です

著者/ライター
有井 太郎
ビジネストレンドや経済・金融系の記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿している。企業のオウンドメディアやブランディング記事も多い。読者の抱える疑問に手が届く、地に足のついた記事を目指す。

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