プロが語る!資産形成のすゝめ

2026年後半の見通し:地政学リスクとAI投資が錯綜する世界経済のゆくえ

提供元:東海東京証券

TAGS.

はじめに

早いもので2026年も折り返し地点を過ぎ第3コーナーに差し掛かりましたが、現在のマーケットを見てみますと、「地政学リスクやインフレによる下押し圧力」と「歴史的規模のAI(人工知能)関連設備投資および堅調な企業業績」という強力な二大要因による「綱引き」の様相を呈しています。中東情勢(イラン戦争)の緊張や原油価格の高騰といった重大な懸念材料が存在するものの、企業利益の拡大が下支えとなり、株式市場は比較的堅調な展開が続いています。今回は、2026年後半を見通すうえで押さえておきたいポイントについて解説していきます。

1. マクロ経済見通し:戦争長期化とAIメガトレンドの相克

2026年後半のマクロ経済は、以下の要素が交錯することで地域ごとの成長に偏り(高低差)が生じています。

(地政学的ショックとインフレ圧力)
イラン戦争の勃発に伴い、世界全体の石油供給の約5分の1が通過するホルムズ海峡の運航懸念が高まり、ガソリン価格の大幅上昇(米国で開始後約40%高※)を招きました。これによりエネルギーコスト上昇や物価の粘着性が増し、世界経済や消費者心理に重しとなっています。

※:米国エネルギー情報局(EIA)「Weekly U.S, Regular Gasoline Prices」

(経済を下支えするAIメガトレンド)
一方で、これを相殺する最大の原動力がAI(人工知能)の爆発的な進化と市場の拡大です。2025年から2035年までの10年間のAI市場規模の平均成長率は年率約30.7%※1と予想されています。また、メガクラウド事業者等による巨額のAI関連投資を見ると、主要ハイパースケーラー(アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、オラクル)の2026年投資総額は6,500億米ドル※2に達する見込みで、今後10年間の累計投資額は30兆米ドル※3と、2000年代の中国産業化ブーム(約18兆米ドル※4)をも凌駕する規模に達すると予想されています。

※1:Market.us ※2:BigGoFinance、Forbes ※3:Haver Analytics、FRED  ※4:中国国家統計局(「中国統計年鑑」、「国民経済・社会発展統計公報」)

(地域別の景気格差)
世界経済を地域別で見ると、景気格差のコントラストが鮮明になってきます。

【米 国】高インフレと労働市場の緩和が進むものの、AI投資の恩恵でプラス成長を維持。
【欧 州】年末にかけてスタグフレーション的ショックのリスクがあるものの、防衛支出拡大やドイツの拡張財政、製造業の底堅さにより過去のような深刻なショックは回避される見込み。
【アジア】中国は不動産市況の低迷やエネルギー制約で減速。日本もエネルギー高と輸出減速により、力強さを欠く展開。

2. 株式市場見通し:企業業績の強さと成長機会の広がり

次に、2026年後半の株式市場を占う上で重要なキーワードについて見ていきます。

(1)強固な企業利益と「新興国版マグニフィセント・セブン」

株価を支える本質は企業業績の強さです。2026年の企業利益成長率予想は、米国(23.0%増)や欧州(14.6%増)に加え、新興国が49.2%増と圧倒的な拡大を示しています。新興国市場ではTSMC、サムスン電子、SKハイニックス、メディアテック、デルタ電子、テンセント、アリババの7社がAI革命の中核を担い、米国の「マグニフィセント・セブン」と比較して相対的に割安なバリュエーションで急成長を遂げています。

(2)集中リスクの回避とオールドエコノミーの再評価

米国市場では大型テック株への集中度が歴史的高水準に達しており、慎重な分散投資が必要です。こうした中、以下のオールドエコノミー分野にも明確な投資機会が広がっています。

・インフラセクター: データセンター拡大に伴う電力・資材需要を受け、建設機械、素材(銅・鉄鋼)、発電設備、ネットワークインフラ分野が好調。
・AI非依存の資本財、一般消費財セクター: 航空機エンジン、クルーズ船等の対面サービス。
・医薬品セクター: ディフェンシブのイメージが強い医薬品セクターですが、イノベーションによる成長(キャピタル)と安定した配当(インカム)を両立できるという点において、今後の注目セクターの一つです。

(3)中間選挙年における米国株式市場の傾向は?

2026年11月に米国の中間選挙を控えており、その行方が注目されています。過去の中間選挙年の米国株式市場(S&P500)の月間平均騰落率を見てみると、選挙前(夏~秋)にかけては政治の不透明感から上値が重く推移しやすい反面、選挙終了後(11月以降)は不確実性の解消から上昇傾向を強めるという歴史的なアノマリー(経験則)が見受けられます。

まとめ

2026年後半の世界経済は、イラン情勢をはじめとする地政学リスクや原油高などの下押し圧力に対し、歴史的な規模で進むAIメガトレンドに伴うテクノロジー大手のAIインフラ投資と力強い企業業績が強力な相殺力として働く「綱引き」の様相を呈しています。  このような不透明感の強い環境下においては、日々のニュースに一喜一憂するのではなく、マクロ環境の構造的変化や長期市場テーマを踏まえた資産配分と分散投資を継続することが大切です。

(東海東京証券)

用語解説

"※必須" indicates required fields

設問1※必須
現在、株式等(投信、ETF、REIT等も含む)に投資経験はありますか?
設問2※必須
この記事は参考になりましたか?
記事のご感想や今後読みたい記事のご要望などをお寄せください。
(200文字以内)

This site is protected by reCAPTCHA and the GooglePrivacy Policy and Terms of Service apply.

注目キーワード