物件価格高騰を受けて、いま注目するべきは「中古戸建て」
SUUMOリサーチセンターに聞く「不動産」の現状とこれから
マンション購入者は「資産性」を最重要視
ここまで不動産の現状を伺ってきたが、購入者側の感覚にも変化が見えてきているという。
「リクルートで新築物件の購入者を対象にしたアンケートを行っているのですが、2003年の開始以来初めて、物件の購入理由の1位が『資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから』になったのです。それまではずっと『子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから』が1位でしたが、買い主の思考が変化し、都心を中心に“半投半住”が広まっているのだと考えられます」(中路さん)
ちなみに、物件購入者は20~30代が増加傾向にあるそう。資産性を重視していることに加え、「共働きの増加」や「長期ローンの活用伸長」といった理由も考えられる。
「近年、返済期間40~50年の長期ローンが出てきていて、2024年と2025年の長期ローン契約者数を見てみると、戸建てで約2倍、マンションで約3倍と活用している人が増えています。自己資金ゼロで住宅ローンを契約する人の数も増えていて、2015年の7.4%だったところから2025年には20.6%になっているのです」(中路さん)

新築マンション契約者のローン返済期間の変化
出典:リクルート「2025年首都圏新築マンション契約者動向調査」
「この変化は、主にマンション購入者に起こっていると考えられます。マンションは、子どもが増えるなどのライフスタイルの変化が生じたときに、柔軟に買い換えられるものと捉えられているからです。住み替える前提なので、一定の資産性が意識されます。そして、資産性のあるエリアであれば、頭金ゼロでの長期ローン契約でもリスクが軽減されるという考え方です。ただし、資産価値が下がるエリアだった場合、売るに売れず返済だけが続くリスクもあるので、万人向けの方法とはいえないでしょう」(池本さん)
一方、戸建ては住み替えを繰り返すものという認識は薄いとのこと。先ほどのアンケート調査でも、戸建てに絞ると、購入理由の1位が「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」になる。
「少しでも価格を抑え、いい物件を見つけたいという場合、いまもっとも注目なのは中古戸建てです。マンションだと中古であっても長期修繕計画が立てられているので、性能が適正に評価されるのですが、戸建てはメンテナンスされているかどうかの評価基準が明確ではないので、高性能の物件も適正に評価されず、割安価格で流通していることが多いといえます。国土交通省は住生活基本計画において『今後は中古物件の性能評価が適切に行われるマーケットにしていく』と打ち出しているので、割安なうちに購入し、きちんとメンテナンスしておくと、将来的に資産価値が維持されて住み替えなどにも柔軟に対応できるといえます」(池本さん)
将来を見据えた物件の選び方も教えてもらったが、池本さんは最後に伝えたいことがあるという。
「不動産もトレンドがありますが、一番大事なのは“住みたいところに住むこと”です。『値上がりしそうだから』という理由で手狭な物件や住みにくい環境を選び、結果的に値上がりしなかったら後悔しますよね。そうなるよりも、本当に住みたい場所、理想的な物件を選ぶほうが、暮らしている間の幸福度は上がると思います。資産性だけを重視せず、一歩引いて考えることも大切です」
不動産業界全体を見てみると、どうやら価格高騰は一部に限られ、中古物件などの新たな市場が注目されつつある。資産としても住居としても、不動産購入の考え方をアップデートするタイミングにあるといえそうだ。
(取材・文/有竹亮介)

