ポイントは「年代」と「NISAとのバランス」
2026年12月「iDeCo改正」で老後資金の備え方は変わるのか…?
iDeCoは「納める税金が繰り延べされる制度」
ただ、iDeCoを活用する際は注意も必要だという。
「所得控除の効果があるといいましたが、納める税金がゼロになるわけではなく、繰り延べされる制度だということを覚えておきましょう。60歳以降にiDeCoで運用した資産を受け取る際、そのお金に所得税・住民税が発生します」
つまり、今回の改正でiDeCoの拠出限度額が引き上げられたことを受け、iDeCoで運用するお金を増やし、より多くの資産を築くと、受け取る際に支払う所得税・住民税も大きくなるというわけだ。
「iDeCoの資産を一括で受け取る場合は『退職所得控除』、年金で受け取る場合は『公的年金等控除』が適用されるので、給与として受け取るよりは所得税や住民税が抑えられる可能性があります。ただし、『退職所得控除』は企業から受け取る退職金も合算となり、『公的年金等控除』は老齢年金も合算となるため、退職金や老齢年金が多いとiDeCoの資産が控除の枠からはみ出してしまい、課税されることも十分あり得ます」
退職金や老齢年金が大きくなりそうであれば、iDeCoの利用を抑え、NISAの割合を大きくするという選択肢もあるだろう。
「iDeCoかNISAのどちらかひとつということではなく、それぞれの制度の特徴を把握し、バランスを見ながら運用することが大切だと思います」
投資もしながら、お金を使い「経験」を積むことも大切
ちなみに、2027年1月からはiDeCo加入中の手数料の見直しも決まっている。「105円(掛金拠出時)」から「120円(月額)」に変わり、負担が増加することになる。
「年間180円の増加となりますが、所得控除の効果のほうがずっと大きいので、あまり重く受け止めずに、運用を継続することを考えましょう。ただ、負担であることは間違いないので、私も構成員として参加している確定拠出年金制度の運用改善等に関する有識者懇談会では、『iDeCoの手数料を国庫負担にできないか』という提言を行っている最中です。今後の展開もチェックしてほしいと思います」
最後に個人投資家へのアドバイスを聞くと、「iDeCoやNISAを活用することも大切ですが、過度に投資をやっても仕方がない」と話してくれた。
「若いうちから『NISA貧乏』『iDeCo貧乏』のような状態で切り詰めながら運用して、60歳を超えてから資産が1億円に達しても、安心感や優越感は得られるものの、あまり意味がないと思っています。60代で海外旅行に行くよりも、若いうちに海外旅行に行って経験を積み、仕事やプライベートに活かしたほうが人生は豊かになるでしょう。思い出がたくさんあれば、そこから得られる『幸せの配当』も大きくなる。投資一辺倒ではなく、勉強などの自己投資や生活満足度を上げるような消費も行い、バランスのいいお金の使い方をしてほしいと思います」
今回の改正により、iDeCoは大幅に拡充したといえるだろう。だからといって、iDeCoだけにこだわりすぎず、さまざまなお金の備え方・使い方を踏まえてライフプランを立てることが重要だ。
(取材・文/有竹亮介)

