「まだ名前がついていない価値を見つける」
テンバガー達成のファンドマネージャー、ブラックロック・ジャパン 高山博樹氏が語る、日本中小型株投資の本質
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投資の世界でも「日本ブーム」が起きつつある
ブラックロックが相対しているのは、世界中の投資家たち。それをふまえて、今の日本市場は海外投資家からどう見られているのだろうか。そう聞くと、高山氏は次のように答えた。
「間違いなく、海外投資家が日本株の価値に気づき始めていると感じます。観光では長らくインバウンドが起きていますが、日本株も同様の状況になるかもしれません。ブラックロック・グループ全体で見ても、日本株への評価が上がっており、期待値が高まっています。私は20年以上ここで働いていますが、これほどの注目度は初めてですね」
なぜ注目されているのかといえば、「日本市場が着実かつ大きな変化を見せているから」だと、高山氏は説明する。
「日本経済はインフレが起き、長らく続いたデフレ経済から脱却し始めました。この変化は非常に大きいといえます。さらに企業レベルで見ても、各社で資本効率改善の取り組みが起きている。経済全体のマクロな変化と、企業単位のミクロな変化が同時に進んでいます。これが海外から注目を集める背景にあります」
ただし、この変化はまだ初期段階であり、今後もよい流れがしばらく続くと高山氏は見ている。その理由として、日本のデフレ脱却はまだ完全に終わっていないからだという。
「なぜなら、直近で起きたインフレは、まだ個人の給与などに十分反映されているとはいえません。そのため、BtoB企業ではデフレ脱却による業績改善が進んだものの、BtoC企業はまだそこまでの変化が生じていない。しかし今後、企業に蓄積されていた富が、少しずつ家計に還元される流れに変わり始めているのではないかと思います。また、政府の施策やインフレ率の鈍化が起きれば、ようやく個人に恩恵が回り、BtoC分野の消費が伸びていく可能性があります。それにより、BtoC企業の業績改善につながっていくかもしれません。日本のデフレ脱却は、まだ中途にあるのです」
こうした背景から、「日本の方はぜひホームマーケットである日本株に注目してほしい」と話す。海外では日本株の注目度が増していながら、日本の投資家の視線は「依然として米国株に集まっています」と高山氏。もちろん米国株への投資も重要だが、「同時に日本株も見てほしい」と強調する。
そもそも日本で生活していることは、日本株に投資する上で大きなアドバンテージになるという。たとえば飲食系の企業を見る場合、店舗のメニューやコンセプトは受けそうなのか、出店戦略は適切なのか。こうしたことを判断するには「日本で生活し、この国の文化や感覚、トレンドを深く理解していないと難しい」と話す。
その日本株の中でも、とりわけ中小型株こそが「日本の投資家が強みを発揮できる領域」だと、高山氏は明朗に告げる。
「日本は約4000の上場会社があり、業種や社歴など、本当に多種多様な銘柄がそろっています。新興IPO企業から老舗企業、ラーメン屋さんから先端AI半導体材料企業まで幅広く、経済の多様性という観点からは日本はある意味“完成された経済”に近い構造を持っていると思います。その大半は中小型株です。ただし、多くの海外投資家は大型株に集中しており、中小型株まで手を伸ばせていない。きちんと調べれば埋もれている銘柄がたくさんあります。日本の中小型株市場は、世界的に見ても調査が行き届いていない市場の一つです。価値が新しく生まれるというより、既にある価値に“新しい名前”が与えられる、まさしく『まだ名前がついていない価値』に気づくチャンスがあるのです」



