かぶオプコラム
【かぶオプコラム】第14回:株式投資の上級者を目指す「かぶオプ」の効果的な使い方
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
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【かぶオプコラム】
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第13回:株を買わなくても利益が出る驚きの指値買い
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株式投資で利益を上げる基本は、「安く買って高く売る」ということに尽きるでしょう。そのためには、さまざまなニュースを読み解き、銘柄やタイミングを判断していかなければなりません。それゆえ、株式投資は面白いけれども難しいと多くの方が感じています。
確かに、株式だけに注目すると、安く買うことも高く売ることも容易ではありません。ですが、「かぶオプ」を知れば、きっとそのハードルは下がることでしょう。
例えば、第10回、第11回でご説明した「カバード・コール」を使えば、株を売るときに指値売りをしながら利益を受け取れるので、その分だけ指値より高く株を売ることができます。また、第12回、第13回でご紹介した「ターゲット・バイイング」を使えば、株を買うときも利益を受け取れるので、受け取った利益分だけ株を安く買えることになります。この二つの戦略を身に付けるとで、自然と株を安く買って高く売ることが可能になります。
では、さらに安く買い、さらに高く売るにはどうしたらよいのでしょうか。カバード・コールの場合であればコールをより高く売れるほうが、受け取れる利益が増えますから、株をより高く売ったことと同じになります。ターゲット・バイイングであれば、プットを高く売れるほうが、結果的に株をより安く買うような効果を得ることができます。つまり、どのようなときにコールやプットが値上がりするのかを知れば、さらに株式投資の収益性を高めることができると言えるでしょう。
そこで、コールとプットがどのように価格変化をするのかについて今回は簡単にご説明します。第1回や第2回でご紹介したコール買い戦略を思い出してください。コールは、対象の株(原証券)の値段があがるほど、コールの価格も上がるという特性がありました。つまりカバード・コールをするのであれば、保有株を売りたいと思ったときに、株価が値上がりしてきたところでコールを売るのが効果的だということです。
例えば保有株を1,000円で売りたいと思い、行使価格1,000円のコールを売る際に、株価がまだ800円のときにコールを売ってもコールは高くは売れませんが、900円や950円と、あと一歩で1,000円というときにコールを売れば、コールはより高い値段で売ることができます。
一方、プットの値動きはコールとは逆で、対象としている株の価格が下がるほどプットの値段は上がります。だからこそ、第8回でご紹介したように市場下落時にはプット買い戦略が功を奏します。したがって、ターゲット・バイイングで株を買いたい場合は、買おうと思っている銘柄の株価が下落して、それに応じてプットが値上がりしたタイミングでプットを売るのが効果的です。つまるところ、カバード・コールとターゲット・バイイングをするなら、いずれも逆張りが向いているということです。
一方、プットやコールの価格変化を生み出すものは、株価の変動だけではありません。コールもプットも満期日のある権利ですから、満期日まで時間がどれだけ残っているかも重要です。満期日まで残された時間が長ければ長いほど、そのオプションが有利になる可能性も増えますから、オプションの値段は高くなります。
一方、満期日まであと数日となれば、オプションの価値はぐっと下がってゆきます。このように時間が経つほどオプションの価値が下がることを「タイムディケイ」と言います。例えば、保有株を1,000円で売りたいと思って、行使価格1,000円のコールを売る際に、満期日まで1か月のある時点ではコールが100円で売れたとしても、その戦略を実行せずに日数が経ち、満期日まで残り3日になったときには、株価がその間一切変化していなくても、コールはたった10円でしか売れないなどということも起こり得ます。
オプションの価格を動かすものとして、もう一つ重要なのが「ボラティリティ」です。ボラティリティとは、簡単に言うと株価変動の程度を示す指標で、「ボラティリティが高い」とは株価変動が大きいことを意味します。ここでのポイントは、「ボラティリティが上昇すると、オプション価格は上昇する」ということです。というのも、株価変動が大きくなると、オプションの買い手にとって大きな利益を得る可能性が高まります。そのため、ボラティリティが上昇するとオプションの魅力が増し、オプションがより積極的に買われるようになり、結果としてオプション価格も上昇するのです。
逆にオプションの売り手からすれば、市場が荒れて株価の動きが予想しづらくなった時、すなわちボラティリティが高い時は、オプションをより高い値段で売れるというわけです。例えば昨年の米大統領選挙の直前などは、選挙結果次第でその後の相場が大きく変化すると予想され、結果が出るまでは先が読めませんからボラティリティが高まり、オプションが普段よりも高い値段で取引されていました。そのため、カバード・コールやターゲット・バイイングには絶好のタイミングでした。
以上をまとめると、以下の表のようになります。こういった特徴を理解しておくと、いつ、コールやプットを売るのがより有利なのかというのが見えてきます。
全ての特性を一度に理解することは難しいかもしれませんが、取引をしながら少しずつ覚えてゆきましょう。例えばカバード・コールを2回取引してみて、1回目にコールを売った時よりも2回目の方がコールを高く売れたとしたら、それは株価が上昇しているタイミングで取引ができたのかもしれません。あるいは満期日までの日数がより長いタイミングで取引できたのかもしれません。こういったオプションの値動きの特性がつかめてくれば、いよいよ上級者への仲間入りです。ぜひ、オプション価格の特性を覚えて、さらに効果的にかぶオプ戦略を実践しましょう。
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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