「口座数」「買付額」とともに「売却率」も上がっている!?

ニッセイ基礎研究所研究員が解説!「新NISA」はどのくらい使われているの?

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20歳以下の「投資信託の売却率」が上昇

口座数や買付額が増加している一方、2025年は2024年と比べて売却額も増加しているというデータが出ている。

全証券会社のNISA口座からの売却額(日本証券業協会、金融庁資料より作成)
出典/ニッセイ基礎研究所 前山裕亮「新NISAの利用実態【番外編2】~20歳代以下のつみたて投資枠で売却急増~」

「日本証券業協会が公表している全証券会社の売却額を見てみると、投資枠や商品に関係なく売却額が増えています。これは意外な状況ではありません。制度を活用する人が増え、買付額が増えれば、相対的に売却する人も増えるからです」

ただ、注目すべき特徴があるという。前山さんが年末残高ベースで売却率を算出したところ、成長投資枠の上場株式の売却率は2024年の27%から2025年は24%に低下した一方、成長投資枠の投資信託の売却率は5%から6%に上昇。つみたて投資枠の売却率は3%から5%に上昇していたのだ。

「売却額で見ると上場株式の規模のほうが大きいのですが、投資信託の売却率が上がっているのは、長期投資を見据えた制度と考えると懸念点といえます。投資信託が売却されたのは、マーケットが好調だったからだと推測されます。NISA口座の収益状況を見てみると、上場株式より投資信託のほうがリターンが出ています。つみたて投資枠は2025年単年でも約18%のリターンが出ていて、2024年からの2年間で約25%に達しているので、売りたくなる人が出てくるのも自然といえるでしょう」

全証券会社のNISA口座の収益状況(日本証券業協会、三菱UFJアセットマネジメント資料より作成。オルカンは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)」を毎月月初に購入し、保有し続けた場合をシミュレーションした結果)
出典/ニッセイ基礎研究所 前山裕亮「新NISAの利用実態【番外編2】~20歳代以下のつみたて投資枠で売却急増~」

もうひとつ、前山さんが気になったというのが20代の売却率の高さ。年代別売却率を見てみると、20歳代以下がもっとも高く、2024年は4%程度だった売却率が2025年には約9%まで上がっているのだ。

全証券会社のつみたて投資枠の年代別売却率(日本証券業協会、金融庁資料より作成。売却率は各年代の「売却率÷(売却額+年末残高)」で算出)
出典/ニッセイ基礎研究所 前山裕亮「新NISAの利用実態【番外編2】~20歳代以下のつみたて投資枠で売却急増~」
つみたて投資枠からの売却銘柄の売却理由(日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査報告書」(2026年5月)より作成。複数回答)
出典/ニッセイ基礎研究所 前山裕亮「新NISAの利用実態【番外編2】~20歳代以下のつみたて投資枠で売却急増~」

「日本証券業協会が2026年5月に公表した『新NISA開始後の利用動向に関する調査報告書』のアンケート調査によると、利益確定のために売却した人がもっとも多いのですが、そのほかの項目も20歳代以下はほかの年代より高い傾向にあります。そのなかでも気になる理由が、『現金が必要になったため』です。売却率増加の背景に“NISA貧乏”があるとしたら、投資との向き合い方から見直す必要があるのかもしれません」

お話を伺った方
前山 裕亮
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 上席研究員。大和総研、大和証券キャピタル・マーケッツ、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンを経て、2014年にニッセイ基礎研究所に入社。研究・専門分野は株式市場、投資信託、資産運用全般。資産運用に役立つ情報を発信している。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
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